2020/11/15
「裁かれるは善人のみ」
10月×日
この夜はグルテンフリーの焼きビーフンと白身魚の西京焼きでクラフトビールを2缶開ける。
ホームシアターは「裁かれるは善人のみ」2014年/ロシア映画。
ロシアの公的機関がこの映画の通りなら、あきれてものが言えない。
国交正常化など夢のまた夢だ。
舞台となるのはロシア北部の貧しい漁村。
悪徳市長が住民に立ち退きを命ずる。
この市長の手口たるや、そこいらのマフィアよりタチが悪いのである。
希望を失った漁民たちの笑顔のない日々が続く。
港の背後には丘陵地帯の眺望が広がり、目の前には黒い海が波を立ててうねっている。
暗く寒い町だ。
市長の横暴で家族を失った少年が海辺に行く。
そこで彼が見たものは巨大な海洋生物の骨だった。
ここはもはや魚はおろか、人の住むところではなくなっていた。
観後、私はこの脚本にひとひねり加えたくなった。
ヒントは松本清張の「天城越え」にある。
もし事件の犯人をあの作品のようにしていたら、
この映画は上質な人間ドラマであり、かつ出来栄えのいいサスペンスにも昇華したことだろう。
主演を任されたアレクセイ・セレブリコブは水のようにウォッカをあおり、そして酔いつぶれるが、
鬼気迫る様はとても演技とは思えないほどの迫力であった。
監督のアンドレイ・ズビャギンツェフの鋭利な感性が光を放った佳作だ。
ちなみに私はこれから妻に裁かれるところだ…。
4.0点
ノエル
「大きなポネだったねえ…」
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