2020/09/26
「サーミの血」
8月✕日
連日猛烈な残暑に見舞われていました。
晩ごはんは…
グレープフルーツのサラダ
グルテンフリーの明太子パスタ
この日のホームシアターは実に重い映画でした。
こんな暑い日に観るもんじゃありませんでした。
「サーミの血」2016年/スウェーデン映画/4.0点
【ネタバレがあるのでご注意ください】
北欧のラップランド地方に先住民族であるサーミ人の集落があります。
ゲルマン系の民族からはえげつない差別を受けています。
サーミ人たちは独特の言語を持ち、トナカイの放牧で生活しています。
映画は老女が息子の運転でサーミ人の集落を訪れるところから始まります。
老女はその村に立ち入ることを極端に嫌っています。
カーラジオからサーミ人の民謡「ヨイク」が流れてきますが、老女はラジオを切るように命じます。
老女にとってその村は思い出したくもない自分の故郷だったんです。
シーンは老女(エレ)の少女時代の回想シーンに移ります。
エレ姉妹は村の子どもたちと一緒に、スウェーデン語を覚えるために、隣町の学校に通っています。
ある意味サーミ語を消し去る政策かもしれません。
その学校で色んなことがあり、エレは大嫌いな家族も故郷も捨てて、ウプサクと言う都会へ逃げ出します。
そして何十年もたって妹の葬儀に参列するために村に戻ってきたのです。
村人の視線は鋭い刃物となってエレに突き刺さります。
エレは妹の葬儀に参列することを拒みます。
しかし、ここである事実が判明します。(これは観てのお楽しみと言うことで…)
誰もいなくなった教会にひとり現れ、妹の柩に額づきます。
死顔を見ると、生涯村を出ることのできなかったひとりの老女の朽ちた老醜が張り付いていました。
エレは教会を出ると故郷の村を見下ろせる丘に登ります。
そこからの風景は50年前と変わらず放牧民のテントが立ち並んでいます。
そしてヨイクの調べが流れてきて映画は終わります。
監督のアマンダ・シェーネルを初め、エレ姉妹(これは本当の姉妹です)など実際のサーミ人だそうです。
地上の楽園というイメージがある北欧にも、人権問題や差別がありました。
人間と言う生きものは、つくづく身勝手な生きものであり、またそうであるからこそ生き延びているのかもしれません。
ノエル
「お散歩のあと、お水遊びをしていて映画を見そこなったじょ…」