2020/09/10
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
8月✕日
この日のクラフトビールとカヴァです。
シューシェフの手料理…
チーズ
グレープフルーツとハムのサラダ
オリーブオイルを投入しました。
サーモンソテー
食後のホームシアターは…
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」2017年/スウェーデン/3.8点
この映画は現代の風潮を表した怖い怖い映画です。
主人公の美術館館長が街なかでスリに会います。
通行人に助けを求めますがみんな知らんぷりです。
館長は犯人が住んでいるアパートにビラをポスティングします。
「犯人の目星はついてるんだぞ。名乗り出ろ」と。
そのアパートは貧困層が住んでるところで、上から目線の言葉が綴られています。
一方美術館では新しい美術展の準備が進んでます。
目玉作品は「ザ・スクエア」という前衛的なプレートで、テーマは「思いやり」「優しさ」なんですが、
残念ながらそんな人はこの作品に誰一人出てきません。
ポスティングの効果でスラれていた財布とスマホが返ってきました。
美術館ではオープニングが近づくにつれてパブニングが連続します。
広告代理店が作ったプロモーションビデオが人種差別であると大バッシングを受けます。大炎上です。
またオープニングのディナー会場に呼んだパフォーマーが常軌を逸し、
参加者に喧嘩を売ったり、掴みかかったりして大騒動になります。
参加者はセレブばかりで、他人が襲われても誰も助けようとしません。
館長が家に帰ると貧困アパートに住んでいる少年が押しかけてきて、猛烈に言いがかりをつけます。
「お前、俺たちを差別してるだろ。俺は盗んでないのに親からこっぴどく叱られた。どうしてくれる‼」
この子役、まだ小学生くらいなのに怖いですよ。迫力ありますよ。
館長は弾みで少年を階段から突き落としてしまいます。
館長は一連の失態の責任を取って辞任に追い込まれます。
記者会見では人権主義のジャーナリストたちから執拗につるし上げられます。
新聞やテレビで袋叩きに合います。
このへんはどこかの国と一緒ですね。
館長は職を辞した後、良心の呵責に耐えられず、少年に謝罪しようと安アパートを訪れます。
住人に少年の部屋を聞きました。
住人は答えました。「あの家族は昨日引っ越していったよ」と。
館長はふたりの娘を乗せた車を運転して安アパートをあとにします。
重苦しい空気が流れるところでこの映画は終わります。
先進国スウェーデンというより、世界中が抱える社会問題を突いた佳作です。
監督のリューベン・オストルンドはかなりのリアリストだと思います。
それは上級国民だけでなく下級国民のいやらしさも容赦なく描いているからです。
ひとから施しを受けて当たり前と思う人々。
そしてそれを見下す人々。
「ザ・スクエア」のテーマ…「思いやり」と「優しさ」が虚しく響きます。
パルムドール受賞も納得の作品でした。
ノエル
「ここがボクのスクエア…お庭の水やりのついでにシャワーを浴びたじょ…」