2020/10/23
「海の上のバルコニー」
9月✕日
スリランカのビールでのどを潤す。
この日はフランス映画の「海の上のバルコニー」2010年公開/を観る。
実によくできたロマンティック・サスペンスだ。
女流監督(ニコール・ガルシア)ならではの繊細なタッチが冴えた。
主人公のマルクは「アーティスト」でオスカーを手にしたジャン・デュ・ジャルダンが演じた。
彼は妻の父親が経営する大手不動産会社につとめているが、居心地は良くなさそうだ。
ある日、目をみはるばかりの美女マリ(マリ=ジョゼ・クローズ演)が大きな物件を買い求めて来社する。
マルクは一瞬で心を射抜かれる。
と同時に幼少期を過ごしたアルジェリアで、自分の家の向かい側に住んでいた少女が彼女であり、
初恋の相手であったことも思い出す。
マリにつきまとうマルク。しかし蝶のように身をひるがえし、マリはマルクの前から消えてしまう。
その後、幾重にも話のカラクリが仕掛けられ、どんでん返しに次ぐどんでん返しが繰り返される。
どれもが斬新なワナで、気持ちよく話に引き込まれてしまう。
映画を引き立たせたキーパーソンの一人に、「追憶のローマ」のトニ・セルヴィロがいたことを書き添えておく。
本作におけるマリ=ジョゼ・クローズの、匂い立つような美しさはスクリーンを制圧していた。
彼女はフランス映画にしか出演していないようだが、いつかフランス映画界は独占禁止法で訴えられることだろう。
一方で、熟成の段階を遠の昔に過ぎてしまった姿を、
恥じることもなくスクリーンに晒し出したクラウディア・カルディナーレには、
是非とも「アモーレ‼」の賛辞を贈りたい。
4.0点 💡
ノエル
「タイトルは「アルジェリアで見た女」の方がいいと思いまちゅがね…」