社長のブログ過去記事

2011/09/24
アメリカンニューシネマ考

11-09-24-02

映画「スティング」を観た。
アメリカンニューシネマ絶頂期に作られたこの作品は
その他の作品群と比べていささか趣が違うと思っていた。
昨日改めて観るまでは…。
ご存知のようにアメリカンニューシネマ(今後ANC)は1968年の「俺たちに明日はない」に始まり
1970年の「イージーライダー」で市民権を得て1976年の「タクシードライバー」が最後と言われている。
「スティング」は1973年の作品だ。
ANC全体に流れていたテーマは「個の無力」であろう。
そしてANCに引導を渡した作品が「ロッキー」であった。
「ロッキー」は「個の可能性」を見せつけた作品だ。
もうアメリカが倦怠感に倦怠していたのかもしれない。
そんな流れの中の「スティング」だが、他のANCと違い明るく痛快な娯楽作品だ。
どうしてこんなステキな作品があんな時代に作られたのか、
いやあの時代に作られたことさえ意識していなかったが、
名作の常、見るたびに新たな発見が今回もあった。
私は「ANCの主人公は人生の落後者でラストは無残な最期」と定義している。
そういう意味では「主人公は人生の落後者」という部分は「スティング」には当てはまっているが
ラストは映画史に残る痛快な終わり方だ。(私は映画史上最高と思っている。)
ところがよく考えてみると、これはハッピーエンドなんだろうか?と思い至った。
あんな大それたことをしでかしてしまった彼らが
果たしてその後ハッピーな人生を送れただろうか?
ご覧になった方にはおわかりいただけると思う。
おぞましい情景が浮かんでくるではないか。
この作品は、そこの部分を描いてないだけで
完全にANC時代の「申し子」と言ってもよい作品かもしれない。
そう考えると全体に流れるペーソスな雰囲気が、一層物悲しく映って来た…。